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「アレはどう言う事ですか、悟お兄様?」
「それは俺が聞きてぇなぁ…一也くん?」
背後にもやもやとした黒いオーラを背負った長男と四男の視線の先には、それぞれの恋人達がじゃれあっているのです。
「くふふ…春ちゃん、擽ってー!」
「るせーお前が動くからだろうが」
いい大人が2人でソファに寝転んで、お互いの身体を擽り合う姿は普通ならエグイ。
だが、それが次男と三男だと話しは別で…何だかお花が舞っているような錯覚さえするほど愛らしいのだ。
話しの発端は何てこと無い、学校の資料に眼を通す次男に暇をもてあました三男がちょっかいを掛けたのです。
始めこそ拒否する次男も、弟…特に三男にはベタ甘なので、直ぐに折れてしまう。
「ねぇねぇ、春ちゃん!今度のお休みに買い物行こうよ」
「良いよ、俺の服選んでくれる?」
「選ぶ選ぶ!俺さ欲しい服があるんだよね」
「んだよー、買ってやんねーからな」
ソファの上でじゃれあうんだから、距離なんて無い様な物。
額つき合わせて、笑いあって、ぎゅうぎゅう抱き締めあうのは俺からすれば目の保養。
可愛いもん、実際。
でも、それをね…良く思わないのはやっぱり恋人なんだよね。
どんどん、どんどん黒いオーラが増幅してるよ…
「…貴方ね、ペットの躾はちゃんとしなさいよ」
「お前こそ、ご主人様のリードはちゃんと引っ張れっての」
「るさいですね、誰がご主人ですか」
「お前こそ、誰がペットだよ」
険悪な雰囲気って、飯が不味くなるから嫌なんだよね…
久々の完全OFF何だから、少しくらい平穏に過ごさせてくれないかな…
「美咲ー、お前太った?」
「あ、デリカシー無い!モデルにそういう事言う!?」
「ンだよ、心配してやってるのに」
「春ちゃんだって最近、お腹ぽにょってる」
「ぽにょってねぇーよ!!」
ぎゃーぎゃー騒いで、きゃーきゃー絡んで…本当幸せそうな人たちだ。
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