💡平和な日常

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食事も終えて、まったりとした昼下がり。 何時もなら、次男の膝を枕に気持ちよさそうに昼寝に勤しむ長男の姿が見られる頃。 だけど、目の前に有るのは四男の肩に寄り掛かりながら寝苦しそうに昼寝に勤しむ長男の姿。 「…珍しいねぇ」 「……そうだな」 まぁ…こっちはこっちで、2人くっついて1冊の雑誌を読んでいるわけだけど。 ―――……チッ。 舌打ちなんて、俺は聞こえないふりをした。 長男と四男が何か行動するたびに、次男と三男はのらりくらり… 俺は、何時もと違う状況を…楽しんだり寂しく思ったり。 でもね…違うんだ。 何時もなら気づくはずなのに、どうして気づいてあげないんだろう… ―――…悟くん…。 何度も何かを言いかけては口を閉ざす、次男の姿に…。 「ねぇ、さとるぅ…一緒にお風呂入りましょう?」 「ンー…、背中洗ってやるよ」 「んふふ…有難うございます」 夜にもなれば、四男の甘ったるい声にも大分慣れた。 抱き締めあって、褒めあって、まるで恋人同士みたいに接する2人の姿にね。 長男も、初めこそ不自然だったけど今では四男を猫可愛がり。 何時もなら、兄弟が揃うとそれぞれの恋人とイチャイチャして…俺が、いい加減にしろって怒るのに。 今日は何となくそれができない。 だって、2人は別に恋人ではないし…只の兄弟のスキンシップなんだから。 2人、今日一日殆ど恋人達と言葉を交わさなかった… 話さない癖に、部屋には篭らず…目の届く所で引っ付きあう。 話し掛けようとすれば、サラっと流して… 「……春ちゃん」 「何も言うなって…行くぞ」 仲良く手を繋いで風呂場に向かう2人を、三男は寂しそうに見つめてた…。 泣きそうな声色に、俺まで悲しくなって来たけど、…次男の冷ややかな声に身震いした。 三男の手を引いて部屋に篭ってしまった次男の背中には、阿修羅が見えたような気がした。 一人残された俺は、深い溜息を付きながら皆が飲み終えたマグカップを片付けるのだ。 _
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