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小一時間ほど経った頃、風呂から上がった2人がまたコソコソ喋っているからいい加減苛っとした。
「…アンタら、いい加減にしたら?」
「良いんですよ、たまには俺達の気持ちを知ればいいんです」
やっぱりね、普段自分達をほったらかしにしてイチャ付くのが嫌だったんだ。
でも、だからって…同じ事をするのは…
「……かず、お前後悔するよ、絶対」
「…え?」
「俺は止めたからな」
俺はどちらかといえば、部屋に篭ってしまった2人の味方だから…
無言のまま、俺の言葉を聞いていた長男がどんな顔をしていたかは見ていないけど…
この人の事だから、何かを感じ取ってくれたとは思うんだ。
「…悟兄ぃ…」
「……部屋行くぞ、嫌な予感がする」
今更気付いても後の祭りだよ…
バタバタ足音を立てて、慌てて2階に上がっていく2人にまた溜息。
俺の幸せは、今日だけでどの位逃げていったんだろう…。
本当、損な役まわりだよ…なんて。
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