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「ふぇっくしゅ!!」
翌朝、リビングに響いた大きなくしゃみ。
「さ、さと…悟くんごめんね!!」
俺が何もかけずにリビングに放置したから、悟くんは風邪を引いてしまった。
鼻の頭を真っ赤にして、グズグズ鼻を啜る姿が痛々しくて…昨夜とは別の意味で泣きたくなった。
「ねぇねぇ、春ちゃん…コレなんだと思う?」
パニックになっている俺の服を引っ張って、携帯画面を見せてくるのは…事の発端美咲。
「何だよ、今忙しっ…ってぇええ!?」
「何々…どしたの?」
俺の叫びに弟達まで集まってきて、一緒になって携帯画面を覗く…
『MISAKIさん、俺も好きです!』
『やっと気持ちが通じたんだな、嬉しかったよ』
『MISAKI愛してんでー』
『俺を落としたきゃ、もうちっと色気を磨けっての』
・
・
。
昨夜から今朝にかけて、大量に受信しているメールはどれも美咲に対する求愛文。
一也もワナワナと肩を震わせて、今にも携帯を降りそうな形相だ。
「皆どうしたんだろうね、急に」
不思議そうに首を傾げる美咲。
あぁ、何が有ったのか安易に想像できてしまった自分が憎らしい。
『ふふ…先輩、しゅきー!』
『ぎゅうってしてくんなきゃやらぁー』
ベロンベロンに酔っ払った美咲が、無償の愛を振りまいたんだ。
赤く染まった顔、乱れた浅い呼吸に、潤んだ瞳…
誘われて、落ちない奴が居るわきゃ無いんだ…
「美咲…」
「うん?なぁに、春ちゃん」
コレは教育的指導が必要だ
と、保護者モードの俺が告げている。
数センチ、身長のデカイ美咲の前で仁王立ち…
何を言われるのか全く分っていない、きょとんとした瞳はやっぱり可愛い…
でも、此処は心を鬼にして…
「今後外飲み禁止!"大好き"は俺だけにしないさい!!」
フンって鼻を鳴らして、言ってやったぜ俺。
訳が分らず、目を丸くしていた美咲も俺の言葉を理解したのかボンって顔を真っ赤にしたからさらに満足。
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