💡君ときどき父さん

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結局、美咲は帰ってこなくて俺の機嫌は下降の一途。 兄ちゃんたちには連絡を入れているみたいだけど、何で俺には何にも無いわけ? メールの返信は無いし、電話にも出ないし…俺何かしました? 「っもう!!何だってんだよ!!」 「荒れてんねぇ…かず」 「荒れもするよ!隼くん慰めて!!」 ソファで寛ぐ唯一の弟にダイブして泣き真似しながら、心の中で溜息を付いた。 本当に、俺…何かしたのかな… そんな、気が滅入っていた俺を隼くんは買い物に誘ってくれた。 まぁ…夕飯の買出しなんですけどね、気晴らしにはなるってもんです。 隼くんと2人、大きな買い物袋をぶら下げてのんびりと歩く商店街。 「……あ…」 「…どうしましっ…あ…」 不意に隼くんが足を止めるから"どうしたの?"って視線の先を追いかければ、前方に見慣れた笑顔。 学校の同級生なのかな、小柄な女の子と手を繋いだ美咲の姿。 楽しそうに笑って、時々恥ずかしそうにはにかんで… これは…どういう事? 「……かず…」 隼くんが心配そうに声をかけ来る。 「大丈夫です、お友達でしょ?帰りましょうよ、晩くなっちゃう」 そうだ、別に…女友達とだって手を繋いだって良いじゃないか… 手を繋ぐのは恋人の特権!って訳じゃないんだから… そうだよ、あれはきっと同級生…仲のいい同級生に決まってる。 自分に言い聞かせるけど、頭の中はグルグルして…倒れちゃいそうだ… 躊躇う隼くんの手を強引に引っ張って…ホラ、今だって手を繋いでんじゃん。 大丈夫、大丈夫…深い意味なんて、なーんもないよ。 「大丈夫です、隼くん…今夜は帰ってきますって」 俺は、満面の笑みでそういうんだ。 _
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