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この後、俺は片時も美咲の傍を離れなくて兄ちゃん達に苦笑いされた。
だけどさ…1週間以上も会えなかったんだよ、少し位甘えたって良いじゃんか…
美咲も何も言わずに甘やかしてくれた、普段どおりちょっと間抜け面の優しい笑顔で。
夕飯食って、風呂入って…2人でベッドに転がり込んで…
「ねぇ美咲…俺ね、この間お前の事見たよ」
「……え…?」
美咲の腕にすっぽり収まって、胸に額を押し付けながら呟いた。
驚いた声に顔を上げれば、やっぱり目を見開いた美咲が居て少しだけ胸騒ぎ。
「…商店街、あれ…友達?」
「………」
「友達なら良いけど、手繋ぐとか勘違いされるぜ?」
「……かず…」
「私に気があるのかもーってさ…」
「かずっ!」
「っ……みさき?」
俺のこと突き放して、ベッドから起き上がった美咲は両手で顔を覆った…
座り込んだまま身体を丸めて、肩が震えているから…泣いているのかもしれない。
「…ごめっ、ごめん…かず」
「…何、急に謝られても分んないって…」
「俺と…、俺と別れて下さい…」
震える美咲の声…
初めはなんて言ったか分らなくて、何度も聞き返したけど…
美咲は泣くだけで、それ以外何も言ってはくれなくて…
「…訳わかんないよ…何で?俺何かした?」
「…っつ…」
首を振って"ごめん"って、ソレだけを繰り返して…
何時の間に美咲が部屋を出て行ったのか分らない、気が付けば…
俺は電気の消えた部屋で、一人放心状態で朝を迎えた。
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