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無意識のうちに泣いたのか、頭がぐわんぐわんする。
どうか夢であって欲しい、そう思いながら足取り重くリビングに顔を出せば、ソコには隼くんしか居ない。
「おはよ…」
「はよ…何、喧嘩でもした?目、真っ赤だけど」
「分んない…ふられた…」
隼くんの大きな目がもっと大きくなって、持っていた珈琲がカップから零れそう…
どうしたら良いか分んないよ、って抱きついたら優しく抱き返してくれた。
「…何かの間違いだよ、美咲ちゃんがかず嫌いになるわけ無いもん」
「……でも、…見ただろ…」
口に出すのもイヤだった。
隼くんは言わなくても分ってくれて、何度も頭を撫でてくれる。
溜息しか出てこない…少しでも気を抜くと、また泣いてしまいそうだ。
美咲は何処に居るの…、美咲に会いたい…でも、会いたくない…
「…ただの友達だって、信じてたんだけどなぁ…」
キッチンのテーブルに並んだ冷えた朝食…
何時もなら、時間が無くても必ず完食してから出かける美咲が…今日は残したらしい。
「…何か、急いで出てったよ…美咲」
俺と会いたくなかったのか、仕事なのか、…新しい恋人に会いに行ったのか…
もう、どうでも良いや…。
ふられたって、簡単に諦められるわけ無いんだから…
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