💡君ときどき父さん

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父さんの口癖みたいなものだった… 俺たちの晴れ姿が見たいんだって、可愛い孫が見たいんだって…の。 あの馬鹿…今更ソレを、気にし始めたんだ。 兄ちゃん達が幸せそうなの壊したくないとか、父さんの夢壊したくないとか… 面倒くさいことグルグルグルグル考えたんだ… 「…ねぇ父さん、俺恋人いんだよ」 今まで黙って会話を聞いていた隼くんも、電話越しの父さんも吃驚してる… 嬉しそうに"本当か!?"って、"どんな子だ!?"って… 自分でも急すぎると思う、美咲の気持ちだって無駄にしちゃおうとしているんだもん… 「凄く可愛い、5歳上…専門学生…」 『年上?美咲と同い年だなぁ…』 だけど、今言わないと…多分この先いえなくなると思うんだ。 美咲の事も、本当に諦めなきゃいけなくなる様な気がするんだ… 「名前…美咲っての、季羽美咲…」 『……かず?』 「…あのね、俺…美咲の事好きなの、ほんとに…大好きなんだ」 父さんは何も言わない。 携帯を持たない手で拳を握りると、隼くんが何も言わずにソレを包むように握ってくれる。 その目は"頑張れ"って言ってくれているみたいで、拳を解いて手を繋いだ。 「まだ…子供、だけど…だけど…」 言葉が続かない。 なんて言ったら、父さんは許してくれるかな… なんて言ったら、本当に大好きなんだよって伝わるのかな… 『一也…おまっ「何やってんの…」』 漸く聞こえた父さんの声に被ったのは、泣き腫らした真っ赤な目をした美咲だった。 「美咲ちゃん!」 隼くんの声が聞こえたのかな、父さんが代われって…怒った時みたいな声で言うから… 俺は、だまって携帯を差し出した。 _
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