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重たい足を引きずって、家に帰るとリビングから話し声…
―…恋人居んだよ…。
聞き間違えるはずの無い一也の声。
ー…可愛い、5歳上……せ…
誰と話しているか、直ぐに分かった…止めなくちゃいけない…
まだ、伝えるべきじゃないんだよ…認めて貰える自身が無いんだ。
だけど、中に入る為の扉を開ける事が出来ない…
一也が今、伝えようとしてる。
自分が出来ないから、卑怯だけど…待ってる自分が居る…
―……名前…美咲っての、季羽美咲…
俺の名前が彼の高い声に乗せられた瞬間、いつの間にか溜まった涙が落ちて慌てて拭った。
沈黙は怖い、…次の言葉が自分にとって良い事であるとは限らないから。
だから、勇気を振り絞って…扉を開けた…
「…なにしてるの」
平然を装って、中に入ると手を繋いで電話をする双子の姿。
二人とも目を見開いて、俺の登場に驚いている…。
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