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『自分達が何を言ってるかわかってるのか?』
「分かってる。父さんが俺達に"普通の幸せ"を望んでくれてるのも、お嫁さんとか孫とか楽しみしてくれてるのも…」
この先、目指すものに手を掛けた時お互いを邪魔に思う事もあるかも知れない…
家族と言う近い存在だからこそ起きる問題も、絶対あると思う…
世間は認めてくれない、異質な目で見られる…父さんにも迷惑をかける…全部全部分かってる。
「でもね、俺に"幸せ"をくれるのは一也以外居ないって…思うんだ」
告白されたあの日、胸にあったのは確かに"兄弟愛"だった。
でも…何時の頃からか"兄弟愛"は"愛情"に変わるんだ…
『そうか…』
「…ごめん、けど許して欲しい…」
『………少し、考えさせてくれ…色々頭が混乱しているんだ』
そう言って、通話は一方的に切られた。
何も聞こえなくなった携帯電話を閉じれば、隼が"大丈夫?"って控え目に声を掛けてくる。
「大丈夫だよ、ごめんね?心配かけて…」
「……美咲…」
「一也もごめんね?俺、逃げちゃった…」
一也の頬を流れる涙に唇を寄せて"大好きだよ…"って囁いた。
ボロボロと涙を流して、何度も俺の名前を呼んでくれた…
泣き付かれて眠ってしまった一也を抱き上げて、部屋に戻ると一緒のベッドに潜り込んだ。
胸にしっかりと抱き締めて、伝わる体温に胸を高鳴らせた。
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