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なんて声を掛けて良いかなんて分からない。
だけど、傍に居てあげたくなったんだ。
「……母さんは、何て言ってた?」
柔らかな、ふわふわとした髪に指を絡めて頬を寄せると美咲は小さく呟いた。
「…ぉ、とこの子…でしょって…」
"女の子みたいに泣かないの!"
って母さんは笑ってるって、美咲は泣いて嗚咽交じりに教えてくれた。
誰よりも母さんが大好きで、誰よりも母さんを近くで見ていた美咲…
「じゃあ、泣き止まなきゃね…」
ポロポロと雫を落とす目元を指先で撫でて、涙を掬う。
ギュっとアルバムを抱き締めて"おかぁさん…"って蹲った。
きっと、俺達の知らない所で美咲は一人で泣いていたんだ…
もっと早く知っていたら、もっと早く気づいていたら…
「みさき…ほら、笑って?」
いくら後悔したって、時間は絶対戻らない…
だったら、これからの毎日を…キミが一人で泣かなくてすむように…
「俺が…傍に居るからさ…」
涙で濡れた赤い瞳が柔らかく細められて、俺は強く…強く美咲を抱きしめた。
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