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「悟兄ぃ…」
「うん?」
小さな背中に張り付いて、俺は何度も何度も兄の名前を呼んだ。
その度に、兄はちゃんと返事をしてくれるし"どした?"って腹に回した俺の手をポンポンと撫でてくれる。
「何でもない」
素っ気無く言っても"そっか"って優しい声で言うだけだ…
何度も何度も名前を呼んで、何度も何度もこの繰り返し…
額を背中に押し付けて、何十回目かの溜め息をついた。
「大丈夫…直ぐに帰ってくるよ」
"誰が"何て言わない、言わなくても分かってる。
「後3回寝たら帰ってくるよ…」
そう言って、また俺の手をポンポンと撫でて、ふにゃりと笑った気配がした。
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