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「ねぇかず…」
「ゲームでもして待とうよ…直ぐ帰ってくるでしょ」
隼くんが何か言いかけたけど、ボクは無視してソファを降りる。
何時もなら怒られる位テレビに近づいて、ゲームを点けた。
「かず…おれもするっ」
寂しいんじゃないもん、拗ねてるわけでもないもん。
ボクはただ、ゲームが好きで…兄ちゃん達に邪魔されないで遊べるのが嬉しいだけだもん。
お外はやっぱり悲しそうだけど、隼くんと2人で居れば、兄ちゃん達が居なくたって楽しいよ。
だけど、美咲ちゃんが出かけて1時間くらいしたら外でパラパラ音がし始めた。
また、お空が泣き出したみたい…
「雨降ってきたね…」
「兄ちゃん達、傘持ってったかな?」
「…悟兄ぃが心配だね」
ゲームの手を止めて、2人で窓に張り付いて外を見る。
パラパラだった雨がどんどんザーザーになって、お庭がびちゃびちゃになった。
遠くでピカって光った気がして、隼くんが息を呑んだのが分かった。
「かみなり…」
「大丈夫だよ…音しないじゃん」
ゴロゴロ音が聞えないし…大丈夫、大丈夫。
「かず…ねぇ、かずっ…」
隼くんがボクの服を引っ張るから"分かってるよ"って手を握る。
外はどんどん雨が強くなって、お空は灰色じゃなくて真っ黒だ…
ゲームやりたくても、雨の音が五月蝿くて集中できない…。
だって…さっきから、ピカピカ…ゴロゴロ…
雷がどんどん近くなってきているのが分かるから…
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