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誰も居ない教室で、事に及ぶ俺たちを現実に引き戻したのは弟達からの電話だった。
慌てて家に帰れば、末っ子が鬼の形相で玄関に立っていて…
年長2人、かれこれ2時間…正座をさせられている訳です。
「で?結局、春くんはストーカーにあってた訳?」
晩くなった事情を無理矢理吐かせられた頃には、俺たちの足は限界をとうに超えて1mmだって動けない。
「う"ぅ…ス、トーカー…までは行かないかもしれない…けどぉ」
プルプル震える俺たちの足を面白半分に突いて遊ぶ、三男と四男は何ともお気楽だ。
「ってかさぁ、相談してよね?言ってくれたら俺たちだって協力したのに」
「そうそう、春ちゃん苛める奴なんてボッコボコだよ」
「怖い事言うなって…、悪い人じゃ…無いんだろうし」
気持ちは嬉しいけど、暴力沙汰になったら意味が無いんだ。
「大事に至らなかったから良かったけど、今度からはちゃんと言ってね?」
末っ子に頭を撫でられる兄ってのは如何な物かと思うけど、弟達が優しく育ってくれてちょっと嬉しい。
「まぁ、兄貴達の濃厚ラブシーン見せ付けられたら…」
「二度と関りたくなくなっちゃうよねぇ」
「自分達の世界に入ったら、周りなんて見えませんもんね」
感動する俺をよそに、言いたい放題の弟たちに…一気に顔が赤くなった。
「ちょ…ばっ、何て事言うんだよ!!」
「っ…ぬぁあああ!!!」
俺の声に重なって、床を叩く大きな音とうめき声が一階に響いた。
音の発信源は、今まで沈黙を守り抜いてきた悟くんに他ならず俺たちはポカンとするばかりだ。
「…どうしたの、悟兄ぃ?」
「やっぱり、あの野郎許せねぇ!!春の首舐めたんだぞ!!八つ裂きにしてやる!!」
立ち上がって憤慨する悟くんに、苦笑いしか出来ない俺。
美咲が"悟兄ぃかっこいい!!"何て持ち上げるから、本当に今から押しかけて行きそうな勢いだ。
「悟くん…俺、本当に大丈夫だから」
拳を握る腕に触れて、服を引けば"だってぇ"何て情けない声を上げながら抱きついてくる悟くん。
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