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足の痺れが一気に前進を駆け巡って、顔が引きつるけど…何とか悟くんを抱きとめる。
「一杯消毒してくれたでしょ?だから大丈夫…ね?」
子供に言い聞かせるみたいに、優しく…優しく…
「ってかさ、何で悟兄ぃは春ちゃんの居場所分ったの?」
言われてみれば、俺の居た教室は俺も悟くんも全く関係の無い場所だったのに…
「んー…だって、待ち合わせの時間になっても来ないから…」
…事の成り行きを聞いて俺は居た堪れなくなるのです…
後輩を校門に待機させ、大学中の教室を探し回り…
何十個あるか分からない教室をしらみつぶしに探して、俺を見つけたって…。
「空き教室は鍵掛かってんのに、開いてっし…中で物音するし…」
入ってみたら案の定、俺が居たんだって。
「……ごめんね、心配掛けて…」
「ふふ…無事でよかった」
抱きとめる悟くんの肩に顔を埋めて、溢れる涙を服に吸い込ませた。
"イチャ付くなら部屋行けよ!"って、末っ子が怒るから…
痺れる足を引きずって、悟くんの部屋に雪崩れ込んで教室の続きに勤しんだ。
翌日、学校に行くのは正直精神的にも肉体的にも辛かったけど…
家を出たら、今まで感じていた視線を感じなかった。
流石に…男同士のキスシーンなんて見たら、熱も冷めるよね…うん。
「春、大丈夫?」
「うん…!」
漸く、平穏な学校生活に戻れるんだって思ったら気だるい身体も軽く感じた。
教室で貰った封筒は、中身を確認する事無く今までの分と一緒に燃やしてしまった…
嫌な事は記憶の中から抹消してしまうタイプだから、暫くすれば忘れられるはず。
皆様、本当にお騒がせ致しました。
……そう言えば、昔あった非通知電話は誰からだったのかな。
考えないことにします!
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