800人が本棚に入れています
本棚に追加
=春=
将来キャスターになる為に…って訳じゃないけど最近テレビ局でバイトを始めました。
大学が半日だけの時だけどね…
地味なもんです、新聞の記事に赤枠を引いて、切り取って、水用意して…って…
「MIASKIが隣のスタジオに来てるらしいよ!」
何時もなら聞き流す女のバイト仲間の雑談に、思わず反応してしまった…。
"MISAKI”
最近、注目を集め始めた新人モデル…
何を隠そう、俺の大事な弟…美咲に他ならない。
「私ファンなんだよね…見に行こうかなぁ…」
おいおい、仕事中だぞ…
何て心の中で愚痴りながらも、俺の足は自然とスタジオから出て行った。
本番中で無いことを確認してそっと扉を開ければ、見慣れないスタッフが忙しなく動いていた。
美咲は…何処にいるかな…
そう広くも無いスタジオを見渡せば、部屋の隅で小さくなっている人影。
明るめの茶色、ふわふわした髪…
「…美咲?」
何だろう…ちょっと、元気がない様な気がする。
「お、季羽どうした?報道は隣だろ」
「おはようございます!此処に知り合いが居るって聞いて…」
顔見知りのスタッフに簡単に挨拶して美咲を見れば、驚いて目を見開く姿が目に入った。
「…ぁ、みさっ…」
「何やってんだ、季羽ー」
声をかけようとした瞬間、別のスタッフに声をかけられ目を離した隙に美咲は居なくなっていた。
……結局、俺が休憩終わっちゃって話をする事は叶わなかったけど…
何だか、もやもやした物だけが残った気がする。
_
最初のコメントを投稿しよう!