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=美咲=
春ちゃんは、意外と勘が鋭くて…
ヘタレなんて皆は言うけど、ちゃんと皆のこと見てるんだよ。
昨日、春ちゃんが休憩中に来てくれた…
春ちゃんがバイトしてるテレビ局だし、すれ違う位するかと思ってたけど来てくれるとは思わなくて…嬉しかった。
スタッフさんが"季羽"って呼んだ時、吃驚した…
だって、俺の事そう呼ぶ人なんて居ないもん。
何だろうって、顔上げたら春ちゃんが居て…目が合った…
スタッフさんに呼ばれた何て言ったけど…本当は逃げちゃったんだ。
会えて嬉しかったけど、話しちゃ駄目だって…直感的に思ったの。
俺は、自分から"季羽"の兄弟だって言った事ないから…何で一緒に居るんだって、先輩達に思われちゃうでしょ。
春ちゃん、今はバイトだけど将来絶対この局に入るんだって頑張ってるの。
スタッフさんにも好かれてるし、モデルの先輩達にも実はモテるんだよ…
「おい、ンな所につったってんじゃねぇよ」
スタッフさんに手を引かれて楽屋に入ると、一気に背筋がピンとする。
ドンって背中押されて…、俺、扉の前で固まってたみたい…。
「ご、ごめんなさい…」
ベテランの先輩達…、俺よりずっとガタイは良いし男っぽくて格好良い。
俺は今日も、楽屋の隅でじっとしてるの、スタッフさんから声がかかるまで。
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