💡Seed Leaf

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高校の時に声を掛けて貰ったの。 「ねぇ、君…モデルって興味ない?」 沢山の人が行きかう中、何で俺なんだろうって思ったのを覚えてる。 断れなくて、一回だけって言われて写真取られて… 恥ずかしかったけど、今まで感じたこと無い楽しさがあった。 俺にも出来ること…見たいのを感じたの。 事務所の偉い人が、このままモデルやらないかって誘ってくれた時も二つ返事で頷きたかった。 でも、身体の事考えると断るしかなくて…凄く悲しかった。 折角やりたいことを見つけたのに、出来ない自分が悔しくて… 主治医の先生に何回も相談に行って、専門学校行きながら体力作り… 俺、皆に内緒で頑張ったんだよ…。 でね、19歳になった時に猛反対する春ちゃんを振り切って事務所に入ったんだ。 1年だけ…学校卒業するまでって条件は付いたけど、きっと楽しいことが沢山待ってるって思ってた。 初めて写真を撮ってもらった時みたいに、ワクワクしてドキドキして… 素敵な毎日が待ってるって思ってた。 ―――でも…現実って、甘くないんだね。 「…はぁ…はぁ…」 ずっと立ちっぱなしで…、照明の明りが熱くてクラクラする…。 もう少し我慢しろよ美咲。 此処で倒れたら、またスタッフさん達に迷惑掛けちゃうじゃん…。 「MISAKI…顔色悪いけど、大丈夫?」 メイクさんが心配そうに頬を流れる汗を拭ってくれる…。 「大丈夫です…有難うございます」 出来るだけ笑顔で、出来るだけ明るく御礼を言って少しだけ、壁にもたれ掛った。 「またかよ…」 ……ぁ……。 「期待の新人だか知らないけど…」 ………。 「新人の為に撮影中断とか有り得ない」 お願い、早く終わって…胸がズキズキする…。 ―――…今日もきっと眠れない。 ――…きっと、夢の中まで先輩達は追いかけてくるから。 お仕事始めて3ヶ月…俺はまだ、頑張れるよ。 _
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