800人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、何時の間に意識を失っていたようで…
気が付いた時には、楽屋は既に真っ暗だった。
手のひらを床に付くと、ツキンと小さな痛み。
壊れた時計を強く握り締めたせいで手のひらを切ったみたい…
何故かな、痛いけど…痛くないんだ。
赤く染まった時計を見つめて、目から落ちる汗を拭った。
何でこんな事になったんだろう…
そんなの、自分のせいだって分かってるよ…。
事務所に入って1週間くらい経った頃、元々人見知りの激しかった俺は、緊張とプレッシャーで倒れてしまったんだ。
軽い貧血で、直ぐに目は覚めたけど…
俺の為に撮影は何時間も遅れてしまって沢山の人に迷惑をかけた。
申し訳なくて、申し訳なくて…沢山謝って…
あの時は、皆笑って許してくれたけど…
でも、俺はまた直ぐに同じ事をしてしまった。
長時間、照明の中に立って居られない…
『お前、いい加減にしろよ!!』
『体調管理も出来ない奴がモデル何てやってんじゃねぇよ!!』
胸倉を掴まれて怒鳴られた。
アレから日に日に増す、先輩達の厳しい"指導"。
気を失っている間に何かされたのか、腹部がズキりと痛んだ。
心なし、四肢のあちこちが痛い。
紛いなりにも俺はモデルをしてるから、顔は誰も傷つけない…
だって、俺は"商品"だから。
誰にも言えない…、言っちゃいけ、気づかれちゃ駄目なんだ。
痛くなんて無い、怖くなんか無い…
だって、俺は、この仕事が…モデルの仕事が好きだから。
春ちゃんに反発してまで、やりたいって思えるコトをやっと見つけたんだもん。
頑張れるよ…頑張るんだ。
_
最初のコメントを投稿しよう!