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時計を失った事が悲しくて、辛くて、春ちゃんに合わせる顔がない。
苦しくて、1人で居たくなくて…俺は、部屋を訪れたんだ。
「美咲…元気ないね…」
久々に一也の部屋で寛いで、柔らかで優しい彼に癒される。
「そんな事ないよ、ちょっと疲れてるだーけ」
「本当かよ…、お前直ぐ無理するから」
「大丈夫、お兄ちゃんを信用しなさい!」
出来るだけ明るく振舞って、満面の笑みを浮かべて…
でも、一向に疑いの眼差しは解けなくて…ちょっとだけ苦笑い。
「本当、大丈夫…最近、レッスンが厳しいの」
本当の事だ…、ウォーキングの仕方だったり立ち方だったり…
アレは"指導"なんだ…
俺が駄目だから、先輩達は厳しいだけだもん。
身体が弱いなんて理由にならない、俺は社会人でお金を貰っているんだから…
「なら、良いけど…絶対無理するなよ!!」
「うん…分かってるよ」
一也の薄い唇にそっと触れて、沢山の有り難うの気持ちを込めてキスをした。
一也を抱き締めて、優しい温もりに癒されながら俺は眠った…。
明日は、何事も起こりませんように…。
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