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「ねぇ…本当に、どうしたの?」
「……何でも、無いから…」
「じゃあ、どうして拒むの?」
何も言わず、ただただ"ごめんなさい"って繰り返す。
どうしたら良いか分らなくて、溜息を付くと大袈裟に肩が揺れるのが分った。
呆れたんじゃないよ、大好きな恋人の為に何もしてやれない自分が情けなかっただけ。
「分った…、もう何もしないから…寝よ?」
「…うん…」
一緒に横になって、額をつき合わせるみたいに抱き合って…
「かず…かず、大好きだよ…」
「んふふ…何だよ、急に…?」
「言いたくなったの…」
「そっか…俺も、お前の事愛してるよ」
「ふふ…照れちゃうね。ねぇ、…お願いが有るんだけど…」
小さく笑いあって、じゃれあって、美咲が少しだけ何時もみたいに笑ってくれた。
「あのね…、頑張れって…言ってくれる?」
顔は笑っているのに、声はとても寂しそうで…
俺は堪らなくなって、華奢な折れてしまいそうな身体をキツクキツク抱き締めた。
「ッ…美咲なら大丈夫!頑張れ!!」
「……うん!」
…どうして、教えてくれないんだよ…。
何に頑張ってるんだよ…
…俺は、そんなに頼りないのかな…。
再び眠ってしまった美咲の、穏やかなその顔を見て…
俺は、心臓が鷲掴みされたように気持ちになった。
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