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俺が勝手に倒れただけなのに、どうして春ちゃんがそんなに苦しい顔をするの?
分からないよ…、苦しいのは俺なのに…
「何で最近寝れてない?」
「んー…何か、夢見が悪いんだよね!」
「何で飯食わねぇの?」
「えっとね…ご飯の前に、お菓子…食べちゃったから!」
「美咲…、腹の痣はどうした?」
「…転んだの!」
嘘は言ってない…
春ちゃんの質問に、俺は笑みを浮かべたまま淡々と答えた。
春ちゃんは俺の腹に手を置いて、痣の辺りをグっと押してくる…
「嘘言ってんな…、誰にやられたんだよ」
苦しげだった顔は、怒った顔に変っていて…違う意味で泣きそうになった。
「違っ…本当に、転んで…」
「みさきっ!!」
押された痣がズキズキと痛んで、自然と顔が歪んでしまうのが自分でも分かった…
「頼むから…、たよってよ…」
そう言って力の抜けた春ちゃんの手は、俺の頬っぺたを包み込んで…コツンって額がぶつかった。
ポタポタ春ちゃんの温かい涙が、顔に落ちてきて俺の涙みたいに頬っぺたを流れ落ちた。
「……春、ちゃ…?」
「頼りないって分かってるけど…」
―……一也や隼がお前を頼るみたいに…俺が悟くんを頼るみたいに…―
―……お前も、俺を頼ってよ…!!
優しく抱き締められて、耳元で囁かれる言葉が鼓膜を震わせて…
苦しくて、嬉しくて、切なくて、心臓がキュウってなって…
「は…春ちゃ…、っうわああん!!」
ぎゅうぎゅう春ちゃんに抱きついて、糸が切れたように泣き出した。
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