800人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、春くんの浮気現場はっけーん」
あと少しで、口がくっつくと思った瞬間のほほんとした声が部屋に響いた。
「ひっ…さ、ささ…悟くっ!!」
「酷いなぁ…俺という者が有りながら、弟に手出すなんて」
俺の事ポイって捨てて、ワンコみたいに悟兄ぃに駆け寄る春ちゃん。
ごめんね、ごめんねっていっぱい頭を下げる姿に笑っちゃう。
「何、笑ってんですか…馬鹿…」
「かず泣かしてんなよ馬鹿兄」
ケラケラ笑ってたら、頭叩かれた…
何だよぉって見れば俺の可愛い可愛い双子ちゃん。
手を繋いで俺をにらみつけて…、一也の眼はうさぎみたいに真っ赤っか。
「……かず?」
「貴方…この間、何も無いよって言ったじゃない!」
何嘘ついてんだよ…って、一也にポカポカ叩かれて…でも、ソレが不思議と嬉しくて…
何で居るの?って聞くと、心配だから戻ってきた…って不貞腐れた。
何だよ…駄目な自分が恥ずかしくて、皆に知られたくなくて…
ずっとずっと隠してたのに…
俺を想って泣いてくれる兄弟が嬉しくて…
「ごめんね…」
ぎゅうって一也を抱き締めた。
「美咲ちゃん、一人で頑張るのも良いけどちゃんと息抜きしないと」
春ちゃんを引きずりながら、俺の頭をポンポン撫でてくれる悟兄ぃ。
「春くん、超心配してたんだから…」
頼ってあげなよ、って…
「うん…ありがと…」
俺は、ごめんねのかわりに…いっぱいいっぱいお礼を言った。
_
最初のコメントを投稿しよう!