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「春くんも、もう直ぐ二十歳かぁ…」
俺も悟くんもまだ大学生で…
俺は、一足先に二十歳になった悟くんの晩酌を横で見ているのが日課だった。
未成年の俺には、空になったグラスにビールを注ぐ事くらいしか出来なくて…
俺が早く大人になりたいって思う理由は此処にもある。
二十歳…大人になるって事は、悟くんと杯を交わせるって事だもん。
単純な理由だけど、お酒のみ交わせるって…少しだけ距離が縮まった感じがするでしょ。
「ねぇ悟くん…、今年は何をくれるの?」
感慨深い表情を浮かべながら、グラスを傾ける悟くんの肩に寄りかかる。
一瞬悟くんの肩がピクってなって、何故か分からないけど少しだけ胸が痛んだ。
「うーん…、まだ考え中かな」
グラスに入っていたお酒を一気に飲んで"おやすみ"って逃げるように部屋に戻っていく背中を、俺は何も言えずに見送った。
ねぇ悟くん、気づいてる?
最近は、お休みのキスもしてくれなくなったね。
一緒のベッドで寝ることも少なくなったね。
一年って、短くて凄く長いんだ…俺はそう感じるよ。
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