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「……さとるくん…」
静まり返ったリビングで、何度泣いたか分からない。
俺ばかりが貴方を好きなんじゃないかって…
貴方は初めから、俺の事なんて好きじゃ無かったんじゃないかって…
結局、兄弟と言う枠から出られなかったんだって…
そう思うと、毎日が辛かった。
一週間なんてあっという間。
今日は平日だから、下の3人は朝から学校…俺も昼から講義に出かける。
悟くんは、朝から姿が見えない…。
きっと、釣りに行ってそのまま学校に行く気なんだろう。
「春ちゃん、おめでとう!!」
「ちゃんと、早く帰ってきてくださいよ!」
「ご馳走作るからね!」
1人づつ、ぎゅうぎゅう抱きついて頬にチューしてくれる。
元気よく出て行く弟達の背中がまぶしい…。
一人歩く、バス停までの道。
空はこんなに青いのに、気持ちはどうしてこんなに重いんだろう。
一目で良い、一目で良いから悟くんに会いたいな…
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