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こんなに辛いなら、告白なんてしなければ良かった。
"悟くんが、好きです"
意を決した俺の告白に、嬉しそうに笑ってキスしてくれたのは…可哀相な弟への同情だったのかな。
今思えば彼からキスを求められた事有ったっけ…
"スキ"って言われた事有ったっけ…
大学から家まで、ただ全力で走った。
息が切れて苦しくて…、でも足を止めたら泣いてしまうって思うから。
「はぁ…はぁ…、俺…馬鹿みたい」
家の前。
足を止めれば、案の定涙が流れて我ながら情けなかった。
冷静に考えて、何一つ恋人らしい事なんてしてないじゃん…
"スキ"って言うのは、何時だって俺からで…
デートに誘うのも俺からで…
キスを強請るのだって俺だけだ…
お休みのキス。
あんなの、俺が毎日ねだったから習慣になっただけに過ぎなかったんだね。
一緒に寝てくれたのだって、その延長線だったに違いない。
悲しくて、悲しくて…今日は、最悪の誕生日。
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