🍀あと一歩 春編

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「し…春くん、何で居るの…学校は!?」 突然帰って来た俺に、悟くんは動揺を隠せないみたいで何時もより少し声が裏返ってる。 そんなに俺に会いたくなかったの? 俺は何も言えなくて、ただ悟くんの首に腕を回してぎゅうぎゅう抱きついてた。 頭の中はぐちゃぐちゃで、嗚咽交じりに泣き腫らして、体中の水分が無くなっちゃうんじゃないかって思った。 悟くんも、途中から何も言わなくなって…ただ俺の背中を撫でて宥めてくれた。 「ぅ…っ、ごめ…さとるくん…」 暫くして、少しだけ落ち着いたから…身体を離して呟いた。 何となく、悟くんの顔が見れなくて俯いてしまうのはしょうがないよね。 「ぇ…あ、いや…」 気配で、悟くんの視線が泳いでいるのが分る。 俺は居た堪れなくて、居てはいけないような気がして… 「ごめんね…、俺部屋戻るから…」 少し覚束ない足で必死に立って部屋に戻ろうとすれば、突然後ろに引っ張られた。 咄嗟の事で、俺はそのまま尻餅をついちゃって…恥ずかしいな、って思った瞬間愛しい温もりに包まれた。 「あの…悟く…、離して…」 「何で泣いてんのか、教えてくれたら離すよ」 「ッ…」 ぎゅって、力強い腕に抱かれて…俺はまたボロボロ泣いちゃって、悟くんを困らせた。 抱き締める腕にすがり付いて、俺は壊れたロボットみたいに"さとるくん"としか言えなかった。 悟くんも、ずっと俺の名前を呼んでくれて…その声があまりにも優しくて… 一緒に寝なくても、キスしなくても、スキッて言ってくれなくても構わないから… だから、…傍に居させて…。 _
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