800人が本棚に入れています
本棚に追加
「し…春くん、何で居るの…学校は!?」
突然帰って来た俺に、悟くんは動揺を隠せないみたいで何時もより少し声が裏返ってる。
そんなに俺に会いたくなかったの?
俺は何も言えなくて、ただ悟くんの首に腕を回してぎゅうぎゅう抱きついてた。
頭の中はぐちゃぐちゃで、嗚咽交じりに泣き腫らして、体中の水分が無くなっちゃうんじゃないかって思った。
悟くんも、途中から何も言わなくなって…ただ俺の背中を撫でて宥めてくれた。
「ぅ…っ、ごめ…さとるくん…」
暫くして、少しだけ落ち着いたから…身体を離して呟いた。
何となく、悟くんの顔が見れなくて俯いてしまうのはしょうがないよね。
「ぇ…あ、いや…」
気配で、悟くんの視線が泳いでいるのが分る。
俺は居た堪れなくて、居てはいけないような気がして…
「ごめんね…、俺部屋戻るから…」
少し覚束ない足で必死に立って部屋に戻ろうとすれば、突然後ろに引っ張られた。
咄嗟の事で、俺はそのまま尻餅をついちゃって…恥ずかしいな、って思った瞬間愛しい温もりに包まれた。
「あの…悟く…、離して…」
「何で泣いてんのか、教えてくれたら離すよ」
「ッ…」
ぎゅって、力強い腕に抱かれて…俺はまたボロボロ泣いちゃって、悟くんを困らせた。
抱き締める腕にすがり付いて、俺は壊れたロボットみたいに"さとるくん"としか言えなかった。
悟くんも、ずっと俺の名前を呼んでくれて…その声があまりにも優しくて…
一緒に寝なくても、キスしなくても、スキッて言ってくれなくても構わないから…
だから、…傍に居させて…。
_
最初のコメントを投稿しよう!