800人が本棚に入れています
本棚に追加
自分でも驚くくらい、声は掠れてて…何て女々しい奴なんだろうって思った。
呆れられても良い、ただの兄弟に戻ったって構わない…
今まで通り、悟くんの傍に居れたらそれで良い。
後ろから抱き込まれている状態では、お互いの表情なんて見えっこないって分ってはいるんだけど…
今は、見えない事が有りがたかった。
俺を抱きしめるだけで、悟くんは何も言ってくれなくて、首筋に当たる吐息がくすぐったい…
女々しくて、うざったかったかもしれないけど、胸の内を全て話した事を、俺は後悔しなかった。
「春…、今まで本当にごめん」
漸く聞こえた声は、謝罪だった…
それは、何の謝罪なの?
俺とは、もう一緒に居れないっことなの?
嫌だ…嫌だ…!!嫌だ…!!!
悟くんが俺から離れてしまうなんて、考えただけでも気が狂いそうだった。
「何で謝るの?…ぉ、俺は…弟としても傍に居れないの?ねぇ!!」
振り向いて悟くんの胸倉を掴んで叫んだ。
「……っ」
「…悟ってば…、何とか言えよ!!」
悟くんの身体を揺さぶって、いまだ枯れない涙がボロボロと流れ出る。
目頭が熱い、喉が痛い、胸はズキズキと苦しい…
_
最初のコメントを投稿しよう!