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フと意識が戻った時には、俺はベッドに寝かされていた。
横になったまま、部屋を見渡せば…此処はまだ悟くんの部屋だ。
どの位、意識を飛ばしていたんだろう…
時の流れは、一見して分からなかったけど、眠った事で冴えた頭は自分の言動を非難した。
竜ちゃんの言葉に逆上したんだ。
分かってた…、悟くんが俺を弟以上に思っていないことくらい。
分かっていたけど、認めたくなかったんだ…
たまにくれるキスは優しくて、微笑んでくれたあの人は確かに居たんだもん。
ベッドから香る悟くんの香り…
胸がほわっと温かくなって、同時にズキンと痛くなった。
シンと静まり返った悟くんの部屋…
「……ふっ、ぅ…さとるくぅ…」
寂しくて、恋しくて俺は泣きそうになるのを必死にこらえて愛しい彼を呼んだんだ。
「……何?」
「……っうわぁああ!?」
俺の情けない声に答える、甘ったるくてほんわかした…俺の大好きな声。
まさか、返事があるとは思わなくて、驚いてベッドから飛び起きれば声の主は直ぐ傍にいた…。
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