🍀あと一歩 春編

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「っー…春、うっせぇー」 俺が起きた事で捲くり上がった布団の中に、身体を丸めて頭を抱える悟くんがいた。 「ご、ごめんなさい…」 「…良いよ、俺の方こそ、ごめん」 咄嗟に謝る俺に首を振る悟くんは、再び俺謝罪の言葉を口にした。 どうして謝るのかと、問いかけようと口を開いた瞬間、俺の視界は真っ暗になって、とても幸せな温もりに包まれた。 「さ、……悟、くん?」 「良いから…このまま聞けって、絶対顔見るなよ」 そう、俺は悟くんに抱きしめられていた。 キツク、キツク…まるで、逃がさないって…言っているみたいに… だから俺も…逃がさないように、悟くんを抱きしめた。 「…俺さお前の事…弟としてしか…見てなかった…」 ……あぁ、やっぱり…。 思っていた事を、直接悟くんの口から聞いて…絶望が胸を一杯にした。 これから、悟くんは俺を避けるのだろうか。 もしかしたら、一人暮らしを始めてしまうかもしれない… だったら…最後くらい、物分りのいい弟で居たい… だから、俺は必死に涙を堪えて小さく頷いた…。 「でも…」 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、悟くんは言葉を続けた… 「……今更だって、怒るかもしれないけど…」 俺を抱きしめる悟くんの腕から、微かに震えが伝わる… 大きな深呼吸…緊張…してるのかな… なんて、俺は何処か他人事のような感覚だった。 _
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