#2_蝉が死んでいる

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朝日が自宅のリビングを明るく照らしてテレビの画面を必要以上に明るくするものだから、そこに何が映っているのか認識するのに少しの時間を要した。 掛け時計を見ると、七時を回っている。しばらくソファーに座り、ボーっとテレビを眺めていると、ニュース番組のアナウンサーが何やら話している事に気付いた。さっきからも話していたのだろうけど、寝ぼけた脳みそはそれを意味の有る言葉として受け取ってはいなかったのだ。 “……により、日笨での不腐敗死体の数が十万人を超えた事が調査でわかりました。そのうち、保管手続きを行っている人は約半分の五万人であり……” そのアナウンサーの不腐敗死体という言葉に少しだけ思考が反応する。 不腐敗死体とは何だったかな? えーっと……そうだ。死体が腐る事なく生前と同じような状態を保たれるという原因不明の現象だ。 「池垣さんところのおばあちゃんも、不腐敗死体になったらしいわよ」 朝食を作り終えた母が、テレビを見ていた僕に突然そう言ってきた。 「池垣さんて、商店街の?」 テレビの音量を下げつつそう返すと、母は軽く質問に答えて、話題を切り替えた。 「そうよ。この前知ったんだけどね。それより早く朝ごはん食べて学校に行きなさい」 母が急かすものだから、僕はソファーから立ち上がりテーブルへと向かった。そして、今日は何が用意されているのかと目をやるが、いつもと同じメニューで少しガッカリしてしまった。
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