#2_蝉が死んでいる

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数十分後、駅に到着した電車から下り改札を出て構外に足を踏み出すと、熱気が僕達の体を包み込んだ。まばらに植えられた木には蝉が止まっているようで、あちこちから蝉の鳴き声が聞こえる。 そんな儚い命の声に耳を傾けていると 「今日は部活あるの?」 と沙羅が突然尋ねてきた。 「有るけど、何で?」 僕がそう答えると、沙羅は残念がり言った。 「そっかぁ。久し振りに一緒に帰りたいなぁって思って……でも部活が有るなら無理だね」 どうやら沙羅は、過去を懐かしがっているようだった。そういえば小学生の頃はよく一緒に帰っていたけれど、中学生になった辺りから部活の関係でそういうのが無くなっていた。 「じゃあ今日は一緒に帰ろうか。部活はサボるよ」 「大丈夫なの?」 大丈夫ってわけでもないが、どうせもうすぐ引退だし何だっていいや。 「平気平気。んじゃ帰りは校門前で待っててよ」 「わかった」 それからしばらくして学校に着き、靴を履き変えてから僕達はそれぞれの教室に入っていった。高校では一年の時以外は別々のクラスで休み時間に会話をする事は殆どなく、登校時と昼休みの時にたまにするだけだった。
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