#2_蝉が死んでいる

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教室に入ると、友達の赤迫(アカサコ)が居て、僕に挨拶をしてきた。   「よぉ、相変わらず古井と仲良いな」   僕はその言葉を無視して口を開く。   「おはよう。一時間目は何だっけ?」   「えーっと確か英語だったような……」   ひとまず鞄を机の上に置き英語の教科書とノート、そして筆箱を中から取り出し机の中へと入れた。そして鞄を机の横に引っかけぶら下げておく。   「そういや聞いたかよ?ズリズリの事」   ズリズリとは不腐敗死体の事だ。それがどうしたというのだろうか?   僕が知らないという表情をすると、赤迫は続きを話し始めた。   「何かどっかの研究所で、蘇生ができるんじゃないかって研究してるそうだぜ。まぁ確かに腐らないし、臓器も移植すれば本来の機能を発揮できるもんな。って事はだぞ、その研究が成功すれば、人は死んでも生き返る事ができるって事じゃないか?」   死んでも生き返る?ファンタジーの世界じゃあるまいし、馬鹿げた発想な気がする。しかし、それは人類の追い求めるべきテーマだとも思う。   「その前に、ズリズリにどういう原理で成るのか、それを突き止めるのが先じゃないか?」   僕がそう言うと、赤迫は「まぁなぁ」と言っていた。
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