春の章

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「ありがとうございますシュシュ……」 お嬢様は旦那様譲りの上品な金のふわふわの御髪に奥様譲りの潤んだ蒼色の瞳をお持ちです。優しげなお顔は見る者全てに安らぎを与え、ふっくらとした淡い桃色の唇は天使のように澄んだ音を紡ぎ、ほんのり薄く色づく頬は神が創りたもうた禁断の果実そのもののようでございます。 楽しそうに笑うお嬢様、困ったようにはみかむお嬢様、怒ってかわいらしく頬を膨らませるお嬢様、悲しまれても泣くまいと双眸に涙を浮かべながらも堪えるお嬢様。全て私の心の奥底にいつでも思い反すことができるように鮮明に焼き付けております。 嗚呼、お嬢様こそ世界、お嬢様こそ聖母、お嬢様こそが私の神なのでございます。 必ずや私アミーリア・シェリアスターが、あの憎きナルシストを引っ捕らえ顔面が崩れるまでボコボコにし地にはいつくばらせ逆らえぬよう調教と拷問を重ね、お嬢様のロリ化の呪いを解かせてみせます! 全てはお嬢様の幸せの為。お嬢様が幸せな人生を送ることができるよう尽力するのが私の勤め。 待っていなさいナルシスト。お嬢様のためなら私はどんなに汚い手であろうと打つのに躊躇いはしません。その穢れた手が再びお嬢様に指一本でも触れるのを、私は決して赦しはしません。 再会したときが貴方という存在の命日です。見つけ次第私は如何様な手段を使ってでも魂尽きる時まで地獄の底まで追いかけ、四肢をもいででも引っ捕らえて旦那様の御前に引きずり出して差し上げましょう。 お嬢様に呪いをかけた罪はウルミ(世界一大きくて重い一枚岩)よりも重く、カリア(世界創造にかかった月日)よりも長い時間をかけなければ償えません。
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