春の章

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おや、私の話になってしまいました。申し訳ございません。 お嬢様は――お嬢様の命で学園では愛称で呼ばさせていただいておりますが――先程申し上げた通り、見た目は完全に子供です。 よくお体を拝見すると小さな山が二つ、ささやかながらも自己主張をしておりますが、もう一度だけ言います。そこを除けばどう見ても幼女です。 長年お付き合いさせていただいております故、お嬢様の成長過程は余すところなく見守ってきましたが、お嬢様は13歳のお誕生日までは、一般的な女子の平均的な成長と発育をされておりました。 あのまま無事に成長期を過ごせていたならば、今頃は私と同様一般的な女性と同じ、いえ、一世代前に絶世の美姫と噂された奥様と同じく妖精のようなお姿になられているはずでした。 ですのに……ですのに………… 「あのナルシストがっっ!! 」 バギャッ 「ひいっ! あ……アミィ……?」 「えっ、あっ、お帰りなさいませシュシュ。驚かせてしまいました。申し訳ございません」 迂闊でした。お手洗いからお戻りになったお嬢様に気づかなかっただけでなく驚かせてしまうとは……。 しかもその失態の原因が憎にナルシストのことであるのが屈辱です。 私の怨恨という色眼鏡で見ていなくても、あのナルシストは、自らの美貌に自惚れていてどうしようもないほど傲慢で世界は自分の周りを廻っているのだと本気で考えている愚か者に違いありません。
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