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 ヒロは突然の訪問者にただ目を奪われていた。 目の前の男を自分と関係付けるとしたら。 ご近所さん、顔見知り、恋敵、一生罪を償わなきゃいけない相手。 大して喋ったこともないくせに、関係性だけは立派に出来ていた。  部屋に鳴り響いたつまらない音のインターホンに、彼はただつまらない訪問者を頭に描いた。 見ていた途中のくだらない恋愛ドラマの再放送から目を外し、ゆったりと玄関の扉を開く。 そうして日常に非日常がやんわりと溶け込んできたのであった。 「おはようございます」 「あぁ…はい…」 礼儀正しい男は昼なのに朝の挨拶を流暢に口から出した。 その一見正しく見えるような反応に、違和感を持ちつつも小心者のヒロはただ返事をする事しかできない。 彼は今、人知れず心の内で怯えていた。 滅多に訪れない非日常的な出来事は苦手なのだ。
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