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「俺のことわかります?」
青年は真っ直ぐテレビを見つめながら口を開く。
青年が喋ったことに内心どぎまぎしながらヒロは青年を横目で見た。
「角田さん、だろ」
「はい。角田アキです。アキって呼んでください」
「…アキくん」
呼び捨てで呼ばなかった事に対し、アキは少女を見るような笑顔でヒロを見た。
自分たちはそんな笑顔を向けられるような関係だっただろうか、とまたもやヒロは混乱するだけだ。
テレビから聞こえる女の甲高い笑い声が、やけに癇にさわる。
「俺、告白していいですか」
アキの言葉はいちいちヒロを混乱させる。
もう考えることが面倒になったため、彼は深く物事を考えないことにした。
嫌なことがあるときは、現実逃避が一番だ。
このように昔から嫌なことから逃げてきた所為で今の堕落した自分がいるのにも関わらず、ヒロはそれをなおそうとは微塵も思っていないのだ。
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