1.異変

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「ヒイロ!」 「…なんだよ、マエストロ<師匠>。」 気だるい昼下がり、束の間の休息を満喫していると邪魔が入った。声の感じで言わずとも用件は分かる。 「任務だろ、どーせ。」 マエストロの方に体を向けるのすらだるい。寝転がったソファーの上で視線だけを送る。 「まあそういうこった。」 マエストロがつるっぱげた頭をかく。 「…で、長引きそう?」 「いーや、冒険者の洞窟で強い魔物が出たらしい。」 「ぶっ」 内容を聞いて思わず吹き出した。 冒険者の洞窟――別名はじまりの洞窟。 そこは、旅立ちの序盤に腕試しで通る場所であり、いわゆる雑魚がわんさか出てくるレベル上げに適したダンジョンである。 そんな洞窟の最奥にはもちろんお約束なボスがいる。ただし、雑魚を率いて御座をかいてるような奴なので、全くと言っていい程そいつには手応えがない。 「あんな所居城にするとか…。強い魔物ったって序盤のパーティが根こそぎ全滅させられた程度だろ?中盤レベルのボスが間違って居座ってるだけじゃね?」 「それがなー、中盤のパーティを連れて行ってみたらしいんだが全滅したそうだ。」 .
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