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ゴオオオオオオオ――――…
「―――――ッ!!!!!!」
声にならない悲鳴をあげ魔物達は、灰も残さぬまま跡形もなく消え去った。
一方、その場に遺されたのは1人の“英雄”と、紅蓮から白へと色を戻した、淡い光を放つ剣だけ。
「自分の駒がいっぺんに消えてったんだ、ボスもちょっとは焦りを感じる頃だろ。」
自らの餌と化したであろう、今までここを訪れた人間達とのレベル差に気付いて。
「どれだけ喰ったか知らないけどな、1度痛い目に遭わせねーと。」
さすがに魔物に喰われた経験はないが、殺される、喰われる瞬間の恐怖、痛みに近いものは幾度となく味わってきた。
別に犠牲になった冒険者達を弔う為だとか、そんなつもりではないが、任務としてやるからには奴にも同じ痛みを、恐怖を味わせないと気が済まない。
「目には目をってな。」
道具袋から取り出した回復薬を片手に、最奥を目指して駆け出した。
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