prologue

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 運転手も焦ってハンドルを切ったのだろう。でも止まらない。横転したまま滑って突っ込んで来る。  だが神様は俺を見捨ててはいなかった。トラックは俺の目前で止まり――――とかだったら映画みたいで格好良かった。現実は若干止まり切れなかったトラックに、僅ながら撥ね飛ばされるという微妙なものだった。  ……でもまぁ、生きてる。女の子を助けてトラックに轢かれる。でも無事とか、格好良すぎだろ。もしかしたらテレビに出るかも知れない。  そんな馬鹿な事を考え、俺は立ち上がった。一連の流れを見ていた通行人から歓声があがる。  俺はそれに答えるように手を上げ、背後でトラックが爆発した。
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