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そんな金欠かつ無能な農民でも出来る仕事が傭兵業である。傭兵と言っても戦争をするだけではなく、近隣のモンスター退治や護衛、その他個人では出来ない雑用を任されたりする。専ら、俺は一人で気楽に出来るモンスター討伐の依頼をメインに受けている。因みに傭兵たちに仕事の案内をしてくれる仲介業として、通称『傭兵ギルド』と呼ばれる存在があったりする。簡単に言えば傭兵の斡旋所みたいな所だ。
「よぅ、ルカ。今日も依頼か?」
ギルドが見えて来た所で、背後から傭兵ギルドの先輩であるスパーダに声をかけられた。
「まぁな。苦学生はキツイぜ」
傭兵たちは古参新参関係なくタメ口で話す。それは嘗められないようにとか色々と話を聞くが、結局の所古きからの伝統みたいなやつだ。
「今日くらいは休んで、また女でも漁りに行かないか?」
スパーダはひげ面を下品に歪ませながら言う。俺としてもその提案は非常にそそるものであったが、生憎そんな余裕は無い。故に後ろ髪を引かれつつも断った。
「悪いな、金銭的余裕が無い」
そこでスパーダが、「そのくらい奢ってやんよ」とか格好の良い事を言わないか期待したが、やはりそんな事はなく普通に別れた。
気をとりなおして俺は、壊れて扉の無い入口からギルド内部へと足を踏み入れた。
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