chapter 1

6/60
前へ
/145ページ
次へ
 かなり小規模とはいえ、一応俺も魔法は使える。しかしそれでも三対一は厳しい。だが受ける事の出来る依頼はそれしかない。 「…………じゃあ、それでお願いします」  果たして俺は、ゴブリン三頭討伐依頼を受けるのだった――――。 「――――――――」  依頼人は気の良い老夫婦だった。息子は居ないらしく、やって来た傭兵が予想以上に若くてびっくりしたと。色々と可愛がって貰えた。  夕食をご馳走になり、色々と話をしているうちに夜は更けた。俺は今、月明かりが照らす中で庭の泥を被り気配を消し、深夜から早朝にかけて現れるゴブリンを待っていた。  老夫婦は恐らく依頼を失敗しても俺を責める事はないだろう。…………だからこそ、この依頼を失敗するわけにはいかなかった。  身を清めて泥を被っているため、ゴブリンが俺の存在に気付いて警戒する事はないだろう。その隙を突き、先ずは一匹を仕留める。そう念入りに計画を練っていると、こちらに全く気付かず畑の中に入って来るゴブリン三頭を視界に収めた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2498人が本棚に入れています
本棚に追加