そのにぃ。

7/12

3510人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
「触んな!」 そこに響いた聞き慣れた声。 それは俺のものでも 委員長のものでも この男のものでもない。 その声は…… 「森…ちゃん?」 そう、 さっき別れたばかりの 森ちゃんの声だった。 委員長の手が、ピタリと止まる。 だが―… 「あ"ぁあぁぁあああ"!」 男の霊が叫ぶ。 もやが、広がる。 距離が近すぎた。 「っあ"ぁ!」 「黄依!」 俺は、もやに呑まれた。 頭が、割れるように痛い。 痛い。 無理矢理流れ込んでくる 男の記憶… 俺は制服の内ポケットから 常に持ち歩いていた お札を取りだした。 お経なんて唱えられる 状況じゃないけど、 何故だか、何とかなるような 気がした… 「大丈夫だ、任せろ。」 力強い森ちゃんの声が 聞こえて 俺は意識を角に追いやられた。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3510人が本棚に入れています
本棚に追加