そのよん。

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□■□■□■□■□ …楽しい時間と言うのは あっという間で 新入生歓迎会は 無事に終了した。 後片付けを済ませ 自室に戻ってきた黄依は ひとり月を眺めていた。 久し振りに仕事のこと 忘れてはしゃいだなぁ、なんて 今は呑気に考えているけれど 生徒会室には 絶対書類の山が出来てるだろう。 (明日は徹夜決定だねぇ…) 何だか寂しいと感じるのは さっきまで騒いでいたからだろうか… やっと大きな仕事がひとつ 片付いたというのに、 胸に広がるのは 達成感ではなく、虚無感。 心に穴が開いたような、 空虚感。 (空しいなぁ…) そして、ふと思う。 自分はなぜ、こんなにも 必死になっているんだろう、と。 だって、 もう気づいてしまった… 会長たちが、どれ程 咲くんを大切に想ってるか。 そこに、俺が入り込む隙なんて ないってことに…… 俺には、もう、 何もないじゃないか。 どんなに仕事を頑張っても 誰も、認めてくれないし みんな、戻ってきてくれない。 どんなに足掻いたって、 俺の居場所なんて、もう… どこにも……… 「………ッははっ」 …わかりきってた筈なのに、 期待してたんだ。 信じてたんだ。 (頑張ってれば、いつか…) ―みんな、戻ってきてくれる なんて、 「…ほんと、馬鹿みたい……」 自嘲的に呟いた言葉は誰に届くこともなく 「……戻ってきてよ…」 そっと吐き出した願いは 無情にも、闇に消えた。
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