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俺が、部屋に戻ろうと
扉に手をかけた
その時…
「謝れ、よっ!」
―ガツンッ
「………ッぅ…」
咲くんの拳が、俺の頬っぺたに
クリティカルヒットした。
…普通、殴る?
「きっ、きいが、悪いんだからな!
はやく謝らないからッ!」
……イラッ☆
「…だからぁ、俺は
なんにもしてないって。
そもそも、動機がないでしょー」
頬っぺた熱くなってきた…
凄い痛いんだけどぉー
「動機がない?」
「ハッ…どーだかなぁ?
咲から聞いたぜ?
お前、本妻の子じゃないん
だろう?」
「「愛人の子、
なんだってねぇ…」」
「…なにが、言いたいのぉ?」
…思ったより、低い声が出た。
背中に冷たいものが伝う。
体が、小刻みに震えて
気を抜いたら、その場に
崩れ落ちてしまいそうだ。
「誰からも愛される
咲が、妬ましかったんだろ?」
ドクン、と
心臓が嫌な音をたてた。
(やばい)
そう思ったのと同時に
鼻の奥がツンとして
視界が、揺らいだ。
気づいたら俺は、
走り出していた。
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