そのよん。

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■□■□■□■□ …母は、弱い人だった。 俺が物心ついた時には もうすでに、 酒癖が悪く、男を とっかえひっかえしてた。 平気で家を何日も空け、 男と遊んでた。 たまに家に来る 叔母さん夫婦が 姉さんは、 あの人のことを 愛し過ぎていたから あの人に捨てられて 可笑しくなってしまった って、ぼやいてたのを 覚えてる。 母は母で、 お酒を飲んでいるときと 男に抱かれてるときだけは 全てを忘れられるの。 そう言って泣いてたっけ。 幼かった俺には、意味なんて 全然分からなかったけど あの人に会いたい、 あの人に愛されたい あの人に愛されない私なんて… 死んでしまえばいい。 それが口癖だったねぇ。 家にいるときは決まって 死にたい、死にたい って手首を一心不乱に カッターで切るんだ。 子供の前でだよ? あり得ないよねぇ……
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