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だけど母は、
俺を褒めてはくれなかった。
俺がいじめられてるのに
気づいても
なんにも言わなかった。
むしろゴミでも
見るような目で俺をみた。
でも、俺は
そんな生活に耐えてみせた。
夜、ひとりで泣くことは
あったけど
人前では絶対に泣かなかった。
そして、小学校に上がり
1年がたった頃
父が俺を引き取りたいと
家に来た。
母は心底喜んだ。
一緒に住むことは無理でも、
俺に会うことを口実に
父に会える、と。
まぁ、父は
「お前と会うつもりはもう無い。」
そう言って
母の期待を、あっさりと
裏切ったんだけどね。
それから父は、
1週間後に迎えに来るから
それまでに荷物を
まとめなさい。
と、俺に伝えて
帰ってしまった。
母はただ、ぶつぶつと
何か呟いているだけだった。
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