そのろく。

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―ギィ… 古びた扉が音をたてる。 空はもう、 オレンジ色に染まっていた。 中等部の頃は 生徒会の仕事をサボって よく屋上に来ていた。 その度に怒った副会長が 迎えにきてくれてたんだっけ。 副会長と一緒に見た景色は あんなに綺麗だったのになぁ… 今はもう、何も感じないなんて。 胸いっぱいに広がる虚しさ。 何だか無性に、泣きたくなった。 フェンスを乗り越え、 下を見る。 (もう、いいかなぁ) ふと、そんな言葉が 頭に浮かんだ。 …その時、 ―ギィ… 屋上の扉が、開いた 「……黄依?」 聞こえてきたのは、 懐かしい………
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