第一章

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少人数で広範囲の見廻り。それが終われば自主稽古をするか又は町に出るかそれぞれである 「そうそう見廻りの時は気ぃ付けろよ。噂聞いてんだろ?」 京の人間にとって壬生浪士組は嫌悪の対象だ。嫌がらせが幾度もあったらしい (馬鹿馬鹿しい。一人じゃ何も出来ないクセに一人前に御託を並べるなんて) 「にしても世も末だな。十七のお前まで来ちまうなんて」 「わっ」 グシャグシャと髪を乱され楠は下から睨む 「睨むなよ。せっかく可愛い顔してんだから笑え」 「可愛いと言われても嬉しくありません」 「それもそうだな」 ケラケラ笑う原田に楠は唇を尖らせ顔を背けた 「あまり意地悪だと女子に嫌われますよ」 「女にゃ困っちゃいねぇから心配無用だ」 「ちょ!また!」 楠の嫌味をサラリと受け流しまた髪を乱す。指通りの良い楠の髪を気にいったようだ 「おーい左之ーなにやってんだー?」 「女の子…じゃないよね、君は誰?」 片や真面目そうな男性と片や美少年がこっちに来る 「おぉ新八、平助。俺の隊に新しく入った楠だ」 「楠小十郎です」
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