13人が本棚に入れています
本棚に追加
少人数で広範囲の見廻り。それが終われば自主稽古をするか又は町に出るかそれぞれである
「そうそう見廻りの時は気ぃ付けろよ。噂聞いてんだろ?」
京の人間にとって壬生浪士組は嫌悪の対象だ。嫌がらせが幾度もあったらしい
(馬鹿馬鹿しい。一人じゃ何も出来ないクセに一人前に御託を並べるなんて)
「にしても世も末だな。十七のお前まで来ちまうなんて」
「わっ」
グシャグシャと髪を乱され楠は下から睨む
「睨むなよ。せっかく可愛い顔してんだから笑え」
「可愛いと言われても嬉しくありません」
「それもそうだな」
ケラケラ笑う原田に楠は唇を尖らせ顔を背けた
「あまり意地悪だと女子に嫌われますよ」
「女にゃ困っちゃいねぇから心配無用だ」
「ちょ!また!」
楠の嫌味をサラリと受け流しまた髪を乱す。指通りの良い楠の髪を気にいったようだ
「おーい左之ーなにやってんだー?」
「女の子…じゃないよね、君は誰?」
片や真面目そうな男性と片や美少年がこっちに来る
「おぉ新八、平助。俺の隊に新しく入った楠だ」
「楠小十郎です」
最初のコメントを投稿しよう!