第二章

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茶番劇のようなものを見せられ楠はソッと欠伸を噛み殺す この高階と呼ばれた隊士は原田を慕っているようだ だから平隊士(くすのき)が殴ろうとしたことに腹を立てているのである 「俺がコイツの気にしていることをしちまったから殴ろうとすんのは当然だ。逆だったら俺もしている」 「それとこれとは話が別です!」 「じゃあ、どうしたら貴方は気が済むんですか。俺は原田先生に傷つけられろとでも言いたいんですか」 「そ、そこまで言ってないが……」 高階の口がモゴモゴ歯切れ悪くなる 「お前ら、試合しろ」 「はい?」 「は?」 原田の薮から棒な発言に楠も高階も目を丸くさせた 「高階が勝ったら楠は高階に謝る、楠が勝ったら俺は楠に謝る。それでどうだ?」 「ちょ、ちょっと待ってください!俺はそこまで弱くありません!それに条件がオカシイじゃないですか!」 「…………」 容姿だけ見たら楠は弱そうだ。高階はそんな容姿をした楠と試合をしたくないと原田に言う 「ウゼェ……」 誰にも聞こえないくらいの声音で毒づくと楠は野次馬化としていた隊士から竹刀を二本奪い、一本だけ高階の足元に投げた 「その条件飲みましょう」 感情の篭らない目に高階を写し竹刀を構える そして冒頭に戻る あっという間…ではなかった。高階も隊士の一人。それに武家の次男坊だったらしく幼少から竹刀を握る機会はあった しかしどうだ。勝敗をつくのには時間は多少なりとも掛かったが見た目に違えて強い楠に高階の目に浮かぶは恐怖 「楠…」 「はい?」 「お前、人を斬ったことがあるな…?」
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